2020年06月04日

心愛 リニアと水

「命の水」
                           佐野愛子
 
水は生命の源、水なしでは人も動物も植物も生きていくことはできません。
私たちの住んでいる志太地区は、大井川、瀬戸川が運んだ肥沃な土によって平野ができ、そこに住みつき米などの作物を育てて暮らしてきました。
 特に大井川は、南アルプスの間ノ岳を水源として駿河湾にそそぐ全長168kmの一級河川です。
 今、その大井川の源流付近にリニア中央新幹線のトンネル工事をする計画があります。
JR東海は、現在海岸沿いに走っている東海道新幹線とは別に、もう一本中央部を通る新しい新幹線ルートを作ることとしました。南海トラフの地震等が起きた際の重要なバイパス路線ではあり、品川駅から名古屋まで168kmを40分で結びます。2027年の開通を目指して、5兆5千億以上の建設費をかけ工事が始まっています。
 沿線となる神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知の四県は駅ができて東京や名古屋の都市圏が近くなるわけですから、各県を挙げて開通を推進しています。
 しかしながら静岡県は、県境の先端南アルプスの地下をトンネルで10.7km通るだけです。その南アルプスは大井川の源流部分でありトンネルを掘ることによって水脈が絶たれてしまう恐れがあるのです。
 大井川の水は上流では中部電力の発電に使われています。そして志太地区だけでなく榛原地区、袋井、掛川、菊川まで流域人口62万人の水道用水になっています。さらにそれらの地区の農業用水となって水田やお茶、野菜を育んでいます。右岸では、牧之原台地はお茶の開墾をしたものの水がないことが課題でした。小笠地区も大きな川がないので、これまでは、ため池に頼らざるを得ませんでした。大井川用水が完成し水不足に悩まされることがなくなりました。左岸は大井川土地改良区の用水が高草山の下まで行き渡っています。まさに「命の水」なのです。
 また、それだけでなく、地下水も大きな役割を果たしています。旧大井川町、吉田町はうなぎの養殖が盛んでした。これも大井川の伏流水を利用しています。下流域にある食品工場、化学工場など井戸を掘って地下水をくみ上げて使っています。水があるから営業できています。産業を支えるという意味でも「命の水」ですね。
 静岡県にとってリニア中央新幹線が通るということは、リスクはあれども何のメリットも無いこととなります。
 「富士山静岡空港の直下に新幹線の駅を作ればいい。」「のぞみを停まるようにしたりひかりを増やしたりすればいい。」という考えもあるかもしれませんが、それと水がなくなることとは全く別次元の問題です。
 流域の8市2町の首長さんや議員の皆さんも、「命の水を守る」という意見書や決議文を提出しています。



Posted by 佐野 愛子 at 15:52│Comments(0)
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