2021年02月21日

大井川水の恵み  リニア中央新幹線

=特別寄稿=
 「大井川 水の恵み」
     — リニア中央新幹線の行方 —            佐 野 愛 子
 「越すに越されぬ大井川」
 と、昔からうたわれてきたが、今では大井川に架かる橋は数多くある。下流から、太平橋、富士見橋、はばたき橋、東名高速道路、蓬莱橋、谷口橋、島田大橋、国道一号線、バイパス、新東名高速、さらにJR東海道線や新幹線等々。私たち藤枝市民は川の流れというより、架かる「橋」を渡ることで大井川を意識することが多く、川の主役であるはずの「水」についてはあまり意識してこなかったのではないだろうか。
 水はあって当たり前。水道をひねれば出るもの。井戸を掘れば湧き出すし、市内の宅地周りを流れる用水路には一年中水が流れている。生きとし生けるものの命を養い、心を潤す水。その水がある日突然出なくなったら、干上がってしまったら、藤枝に住む私たちの暮らしの存続はあり得ない。
 「大井川」という全長168キロメートル、南アルプスを源流とする太古からある一級河川が、この地域の生命を育んでくれていることを今一度考えてみたい。
 リニアルートと南アルプス
 JR東海が、リニア中央新幹線のルートを発表したのは、2011年。静岡県の地図で一番上の先端にトンネル・ルートの線が引かれた。その距離8、9キロメートル。南アルプスの真下であり大井川の源流の真下でもある。
 「南アルプス」は国立公園はもちろんユネスコ・エコパークにも指定されている貴重な自然の宝庫である。
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 冬の晴れた日、藤枝の市街地からも雪をかぶった南アルプス連峰の頂を見ることができる。赤石岳、北岳、荒川岳、光岳。いくつか山の名前は知っているものの訪れた人は少ないかもしれない。「井川ダム」「畑薙ダム」の先の森林は、昔でいう「東海フォレスト」今は「十山」という会社が管理している。登山者で賑わう椹島ロッジ、山小屋でありながら本格的なフランス料理を味わうことができる二軒小屋。藤枝から少し足を伸ばした県内に、こんな3000メートル級の山々を目前に望むことができる場所があることに驚く。
 南アルプスは、高山植物やライチョウ、ヤマトイワナなどの生き物、シラビソなど固有の木々、など人が入らない高山ならではの生態系が築かれている。北アルプスの「上高地」は誰も知る観光地となっているが、南アルプスは手つかずの自然が残っている聖地であるといえる。
 南アルプスの三つの困難
 南アルプにはもう一つの顔がある。一つ目。南アルプスの下には、フォッサマグナの延長である畑薙山断層帯、中央構造線が通っている。
 その昔上映された、「黒部の太陽」という映画をご存知の方は多いと思う。「黒四ダム」建設のためにトンネルを掘る工事の物語であり、三船敏郎、石原裕次郎の二大スターが技術者を演じている。糸魚川 — 静岡構造線、フォッサマグナにかかる北アルプスの直下を掘り進めると「破砕帯」にぶつかり、洪水のような水が押し寄せて、多くの作業員が逃げまどい犠牲となるシーンは印象的だった。あれは50年も前のこと、今では技術も進歩したとはいえ、あのような突発湧水を完全に制御できるのだろうか。 
 リニア工事に伴う静岡県の要望で
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ある「工事中の湧水は全量静岡県側に戻す」ということは本当に可能なのだろうか。
 さらに二つ目。「畑薙断層帯」は非常に崩れやすくもろい地層であること。「赤石山脈」「赤崩れ」という名前のように赤みを帯びた岩土が多くの場所で崩れて河床に積み重なっている。昨年の台風19号では沢から多くの土砂が押し出されて林道がいたるところで切断された。これでは、仮に本格的工事がスタートしたとしても順調に進むとは考えられない。多くの大型工事車両が通る道路の造成も簡単ではない。異常気象で記録的な大雨に見舞われる昨今では、作業員の安全が守られるかは大きな課題であると思う。
 そして三つ目。東海地震の原因であるといわれている「フィリピン海沖プレート」の沈み込み隆起の力は、南アルプスにも関係している、ある土木工学者は「赤石山脈の隆起は、最近100年間において、年間4ミリメートルと世界的に最速レベルを示しており、強い地殻変動の場にあたる。」と警告を示している。トンネルを掘っても毎年少しずつずれて、10年で4センチメートル、30年では10センチもずれることになる。大丈夫だろうか。南海トラフ地震が起これば一番被害が大きくなる場所である。
 とにかく、南アルプスは複雑な地形であり、神々しいばかりの自然が立ちはだかる場所である。簡単に人間の手が付けられる所ではないと感じさせられる。
 中下流域の水
 大井川の水は10市町、62万人の生活を支えている。エコパスタジアムから高草山までと考えるとわかりやすい。藤枝市の上水道は大井川広域水道企業団から一部の水を引いている。農業用水である大井川用水は青島、高洲、大洲、西益津、広幡地区の田畑をくまなく潤している。左岸である志太地区側での恩恵はもちろんであるが、右岸の牧之原、小笠地区は、大きな川がなくため池に頼るなど昔から水に苦労した地域だった。今では、長島ダムから島田の川口取水口まで引かれた水が、志太、榛原、小笠まで行き渡って農産物が育っている。牧之原の茶園を含めその面積は12000haという広大な規模である。
 また、食品や製薬、化学などの多くの工場は自前
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で井戸を掘り、豊富に湧き出る水を無料で製品やボイラーなどに使用している。その数約1000本の井戸である。品質の良い水があることは工場の立地条件としても大きなウエイトを占めているのだ。もちろん、大井川、吉田で栄えた養鰻業しかり、志太の自慢である酒蔵もおいしい水があるからこそだ。
 JRの金子社長が県庁を訪れ、リニア工事着手について川勝知事と対談した際、知事は「磯自慢」の最高級品をお土産にお渡しした。もちろん「大井川の水の恵み」の産物であることを強調して。さらに国交省の藤田事務次官との会談では、牧之原市産の煎茶と朝比奈の前島東平さんの玉露をお出しした。事務次官の味覚には、静岡のお茶の甘さと渋さが知事の言葉とともに残っていることだろう。
 もうひとつ、「森は海の恋人」と言われるように、大井川の恵みがサクラエビやシラスなど駿河湾の恵みとつながっている。大井川から流れ込む水のミネラルが駿河湾を育てているのだ。
 水には川面に見える表流水と、見えない部分の伏流水、地下水がある。大井川は昔から「水返せ運動」が起こったほど表流水が限られた川だった。今でも渇水期には取水制限が出ている。しかし、地下水は表立って見えることはない。リニアのトンネルを掘ることでどんな影響が出るのか一番気にかかる。
 国交省有識者会議
 「工事で出る水は全量戻す」という約束はあっても、それはあくまで表流水のこと。地下水はどうなるのか。
 そのような、中下流域住民が一番知りたい資料は全く提示されず、「トンネル掘削の工法」や「工事から出た水の浄化方法」などゼネコンが業者に説明するような専門的なものばかりに議論を費やしていた。「中下流域への影響」という資料がようやく出てきたのは、2020
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年8月に開催された第4回有識者会議であった。「大柳」「住吉」「五平」「一色」「大洲」など私たちが知っている地名が出てきて、下流域20地点ほどで地下水位の調査のグラフなどが示されている。しかしながら審議会の中で、中下流域の地下水についてあまり意見を交わされることはなかった。それなのに有識者会議終了後、信じられない座長からのまとめのコメントが出た。「中下流域派の地下水への影響は概括的に問題ない。」「中下流域の河川流量は、上流のダムによってコントロールされているため渇水期でも地下水の水位は変化しない。」
 一番大事な部分がその程度で結論を出していいのか、これまでリニアに関する莫大な審議時間のうち、たった数分の結論で納得しろというのか、これには驚きと憤慨が沸き立った。
 そもそも、この有識者会議の委員の選定から疑問だった。静岡県は「委員の公募制」を主張し県から推薦した人物もいたが、採用されなかった。それどころか、委員の中にはリニア工事を請けおう工事会社の監査役をしている学者がいて、さすがにその方にはお引き取りして頂いた。会議内容も全面公開はしていない。まさに、進める側に都合がいいお膳立てをしているということが見え見えである。
 「納得できる説明」や「水は大丈夫という安心」を限りなく求めたい流域住民である。水に替えられるものは水しかない。お金をもらっても土地をもらっても水には替えられない。
 いわゆる「静岡問題」
 そもそもリニア中央新幹線は計画当時から静岡県を通るルートは想定しておらず、諏訪、岡谷を回るルートが有力だった。静岡県の南アルプスを通る最短距離に決定したことは、県にとっては「寝耳に水」という状況であり、何のメリットも無い話である。
 これまでJRが行ってきた全国に伸ばしている新幹線工事は、国策であり地域発展のために誘致を受けての工事であった。住民に反対する余地もなく、JR側も丁寧な住民合意を取る必要もなく進めることができていた。今回のリニアは「静岡問題」と名付けられて全国的には静岡県が工事を止めているよ
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うに映っているが、住民にとってリスクを避けて工事を進める説明を求めることは、しごく当然なことであると思うのだが。
 東海道新幹線の「空港新駅」や「のぞみの静岡停車」などの代替え提案は全く次元の違う話であり、「水」の代償にはならない。
 リニアの今後
 リニアについての審議がなされている渦中、新型コロナウイルスが流行して国民の生活様式や価値観が大きく変わった。
 東京など大都市への一極集中から地方へ、効率とスピードを重視する経済至上主義から、ゆとり、環境を大切にする社会へとシフトしている。ITの進化により人が移動しなくてもリモートで会議ができることが実証されてしまった。ワーケーションなど居場所は関係なく仕事ができることも当たり前になった。東京から名古屋まで40分で移動できることにそんなに価値があるのか、誰もが疑問を抱く。
 経営的にみても、名古屋までの工事費は5兆5235億円とされている。これまでドル箱であった東海道新幹線も、新型コロナウイルスの中では乗車率は下がり大きな収入減となっている。リニア新幹線そのものも採算がとれるとは思えない。
 「コンコルド効果」という言葉がある。英仏の共同開発で進められた超高波旅客機コンコルドは、赤字になると見込まれていたのにもかかわらず、後戻りできなくて開発を進め、倒産したことをもじっている。リニア中央新幹線と被ってしまうと思うのは私だけではないだろう。
 地球温暖化などの環境対策、エネルギー対策など現在から未来へ続く視点での課題は多い。静岡県、そしてこの藤枝市を中心にした志太榛原地域が未来永劫豊かに暮らしていくことができる地域であるように、リニア中央新幹線の決着を誤ることなく慎重に進めていかなければならないと考えている。市民の皆様はどのように受け止めているのだろう。
    

Posted by 佐野 愛子 at 17:17Comments(0)

2021年02月21日

コンコルド効果

「コンコルド効果」という言葉があります。
意味は、ある対象に対してお金や時間を投資し続けることが損失になることがわかっていても、それまでの投資を惜しんでやめられない心理のことを言います。株式や投資の時に使われる経済用語でもあります。
言葉の由来は、お気づきのように1969年、フランスとイギリスが共同開発した、超音速旅客機「コンコルド」からきています。未来的な機能性は世界各国から注目されましたが、あまりにも高すぎる開発費、維持費、機体の値段や燃費など様々な問題点から、このまま開発を続けても採算が取れないことが判明しました。しかしながら、これまで投入した予算や時間がすべて水の泡になってしまうことに加え、責任問題の押し付け合いになったため開発を続行した結果、会社は莫大な損失を出して倒産してしまったのです。
 これと似通ったことは日常生活の中にもよくあります。例えば、パチンコやンブルで負けがかさんでいるのにもかかわらず「元が取れなければ」「今まで負けた分だけでも取り戻さなくては」と通い続けてしまう。また、商売を続けていても利益が上がらないことがわかっていても、投資した設備や時間がもったいなくて閉店の決断ができない。さらに恋愛でも、恋人と別れたいが「もう何年も付き合っているしここで別れたら今までの時間が無駄になってしまう」とだらだら付き合ってしまう、等々。
日本人は「もったいない」精神が身についているせいか、スパッと踏ん切りをつけることが苦手であるかもしれません。

さあここで、わが県をにぎわしている「リニア中央新幹線問題」はどうでしょう。リニアはコンコルドとは全く違って、日本の高度な鉄道後術の結晶なので実現して走らせることに何ら問題はありません。期待を担っています。
しかし、その路線工事によって周辺住民の生活が脅かされたり貴重な自然環境が損なわれたりするのでは取り返しがつかないことになります。リニア開通による採算性と抱えていくコスト、またこれまで進めてきた工事にかかったコスト、今後の見通し。しっかり見極めて判断する必要があります。大きな組織の中で責任逃れをしながらただただ続けていくということだけにはなって欲しくありません。
これからの子どもや孫たち、子孫のためにもこの大井川流域の水環境は守り続けなければなりません。

  

Posted by 佐野 愛子 at 17:05Comments(0)

2020年06月27日

リニア中央新幹線現地視察

ふじのくに県民クラブリニア中央新幹線 現地視察報告
                 文責   佐野愛子 

1 視察概要
 
日時令和2年6月9日(火)

参加者○危機管理・くらし環境委員会:四本委員長、小長井委員、阿部委員
○リニア対策PT:佐野座長
○JR東海:静岡工事事務所副所長 島川 徹氏、係長 陰地 勝也氏
○静岡県:織部理事、田島理事、その他関係課職員

目的・リニア中央新幹線静岡工区の現状を視察することにより、6月議会、委員会等の提言に役立てる。
・県民に南アルプスのリニア工事の現状を伝え課題を共有する。

視察行程県庁出発(8:30) → 井川湖 → 白樺荘(11:00)→   
畑薙ダム → 林道ゲート(12:00)→ 椹島(現場宿舎、導水トンネル排水口)→ 燕沢(発生土置き場) → 千石沢(コンクリートプラント)→ 千石(現場宿舎、工事用トンネル抗口)→ 二軒小屋
(16:00)→ 井川湖 → 閑蔵林道 → 長島ダム → 千頭
 → 国道362号線 → 県庁(19:30)


2 視察内容

 (1)市街地からの主要県道
  
 県庁から、主要地方道南アルプ公園線、県道三ツ峰落合線を通り井川湖、そして畑
薙の林道ゲートまで3時間、83km。片側一車線の県道は曲がりくねり対向車とのす
れ違いも困難な箇所が多い。
  井川地区の集落にとってこの県道の改良は悲願
であり、リニア工事の代償として静岡市はトン
ネル新設の協定を10日JR東海と締結した。
富士見峠の部分をショートカット、20数分の短
縮になる。全長4.6km、140億円をJR東海
が全額負担するという内容である。
   それにしても、関係者や工事車両が現地に向かうには相当な時間と労力を費やすことになる。
   この場所も岩石はもろくトンネル工事は相当な難工事になると思われる。

(2)林道東俣線

東海フォレストの所有地であり通行許可が必
要である「林道東俣線」に入る。この林道は災
害の影響を受けやすく路肩が崩れたり、車道が
落石に覆われたりして走りにくいのはもちろん、
しばしば通行止めになる。
 現在も台風19号の影響で山側から押し寄せ
た大量の土砂で道路をふさいだ部分の復旧に手
間がかかり、河原を走る仮道が数百mある。
また、赤沢崩れは山頂から広く崩れ、土砂が
  本流を埋めて畑薙橋の橋げたまで着いてしまっ
  ている。これ以上増えたら橋が流されるかという予断を許さない状況である。
現在入り口付近から林道整備を始めてはいるが、ゲートからリニアトンネルが通る西俣までの約20kmの整備は、まず最初に進めるべき課題である。


(3)椹島宿舎建設地

椹島と言えばかつては林業の中心地であり、南
アルプス登山の拠点であった。ビジターセンター、
ロッジ、レストラン、カフェテラス、そして昨年
逝去された山岳写真家白幡次郎さんの写真ミュー
ジアムなどがあり、源流と山々を望むことができ
る憩いの場所となっていた。
しかし今は様変わりし、椹島ロッジの敷地を取り
  囲むように工事用の宿舎の建設が広く進んでいる。
100名規模で生活できる宿舎は、使用後はホテル
として活用する計画だという。



(4)椹島導水路トンネル排水口

トンネル工事で出た湧水を工事地点から
11.4kmのトンネルを通り自然落下で椹島に
て源流に排水する。
濁水をどのように浄化し排水するのか、処
理施設はどの場所へ建設するのかなどの質問
に対して、JR東海の説明は不十分。
濁りはなくとも重金属など有毒物質が含ま
れている場合もあり、それらの質問に対して
の回答は「出たとこ勝負」という程度であり
納得できるものではなかった。
断面積10~20㎡のトンネル内に浄水施設を数基並べるという計画も実現性に乏しく感じた。


(5)燕沢発生土置き場

台風19号で多くの土砂が流れ出た付近で、
既に5,6mの礫が積み上がっている。
この場所に長さ600m、高さ70m、総体積
360万㎥もの山を作ることになる。
途中には崩れている沢が2,3か所あり、土
を積んでも山からの礫が押し出したり、川の増
水が残土の山を削り取ることも歴然であると伺
えた。


 (6)千石沢コンクリートプラント

椹島の宿舎建設用のコンクリート製造拠点。
本体工事が始まればトンネル工事用のコンクリートが工事
用トンネルから供給されることになる。
コンクリート製造時やミキサー車から出る汚水対策のた
めに処理施設も建設。


(7)千石非常口、工事用トンネル坑口

ポールの左右4.5m、径9mが抗口となる
場所。この表土を買収すれば後はトンネルを掘り
進めることになる重要な地面となる。

 
(8)千石宿舎

300人が生活する宿舎。現在は80人ほ
どが生活している。10棟ほどあるが、背後
は崩れ落ちている沢が幾筋も見える。
大雨が降ったら宿舎まで土砂が押し寄せる
のではないか。また大勢の作業員の生活に伴
う汚水や廃棄物など自然環境を損なうことは
否めない。


(9)二軒小屋付近

かつて会派の視察で宿泊した素敵な高原ロッジ。今は営業を休止している。周辺はたくさんの宿舎が建設され景観は変わっていた。


(10)長島ダム

帰途は国道362号線に向かった。途中にある長島
ダムは国土交通省によって建設された利水、灌漑を目的
としたダムである。
ここから、大井川流域62万人の産業や命を支える水
を供給していることを改めて確認し、自然と人間との共
生について考えさせられた。


3 課題と考察
 
・JR東海は排水口や工事用トンネルについて、今すぐにでも掘削を始めるという感を受けた。作業用宿舎やヤード、林道整備はあくまでも準備工事であるが、トンネル口掘削は本体工事に入るという認識をしっかり確認する必要がある。

・南アルプスには水脈である破砕帯だけでなく年間4ミリ動いているという畑薙断層が通っている。仮にリニアトンネル内でずれが生じた場合、安全性が保たれるのか。

・山岳地帯である南アルプスの自然は、豊かであると共に大変厳しくもある。人工で手を加えてもそれ以上の脅威をふるう可能性を感じた。

  

Posted by 佐野 愛子 at 16:00Comments(1)

2020年06月04日

関東ブロック 母と女性教職員の会 挨拶

皆様おはようございます。ようこそ静岡へお越しくださいました。私は静岡県議会議員の佐野愛子と申します。小学校の教員を、静岡で23年ほどやっておりました。そして今、県議会議員として4期、16年目を迎えています。実は私は、前々回の関ブロ母女が静岡に来たときに女性部長として担当させていただいたものです。今は退女教の仲間として活動をさせていただいています。
 さて、昨日の交流会。ケンミンショーばりの皆さんの県の自慢がたくさん出て楽しませていただきました(笑)。私も静岡の自慢を少しさせていただきますと、静岡は東西200㎞、東海道新幹線の駅が6つもあります。そして駿河湾、南アルプス、富士山と海の幸、山の幸に恵まれている所です。気候も勿論、温暖です。農水産物の食材がなんと439品目あるというのが川勝知事の自慢でもあります。昨日は静岡の食を堪能していただけましたか? ぜひとも今日、お土産をたくさん買って帰ってください。
 さて、広島と長崎の原爆記念日、この間に開催されるこの関ブロ母女は本当に意味がある会だと思います。私は昨日、自立と共生の分科会に参加させていただきました。やはり、学校現場こそ平等であるべき、そして、同一労働同一賃金の教職員こそ平等であるべきだと思います。ところがまだ混合名簿もこの関ブロの中では実行されていない県があるという事も、少し驚きでした。
 私はいま静岡県議会議員ですが、69人中、女性議員はたった4人です。増えて4人です。まだまだ男女平等には行きつかないという現実を目の当たりにしています。国の政策では、女性活躍、女性が仕事を続ける環境づくりを積極的に行ってはいます。しかし、女の先生方がまだ分掌でも管理職も少ないし、本当の平等はまだまだだと実感します。
 議場に赤ちゃんを連れて授乳をするというようなことが話題になりました。育児休業制度は、この静岡県藤枝市、私が住んでいる市の女性教員が56年前に、育児休暇があったら良いな、というのを地区の役員会で声をあげました。それが日教組の全国大会の議題となり、1975年に育児休業法案が国の法制度になったわけです。女の先生が働き続けるために、しっかりと私たちの先輩が努力を積み上げて勝ち取った育児休業なのです。このような歴史を踏まえて、世の中の女性の活躍のために、女の先生が――女の先生って言うと何か偏見的な言い方かもしれませんが――先陣を切って世の中の女性をリードしていく。そういう立場だと思います。皆様方が、権利を使って、自信を持って働き続けること、それが世の中の女性を引っ張っていくことになります。
ぜひとも、自信を持って声をあげていこうではありませんか。教師が輝くことが子どもたちの輝く未来につながります。子どもの未来のため、子どもの平和のためという理念があればどんな事を発言しても怖くはないと思います。平和に対する思い、そして、嘘は言わない。女性は誠実、正直に真っ当に前を向いて正しいことは正しいと皆で言い張ろうではありませんか。それがこの仲間の持つ強みだと思います。

この仲間と共にこの静岡で学んだ2日間をぜひとも広めていってください。そして、仲間がいることを強みにして頑張っていきましょう。本日はおめでとうございます。ありがとうございました。
  

2020年06月04日

心愛 リニアと水

「命の水」
                           佐野愛子
 
水は生命の源、水なしでは人も動物も植物も生きていくことはできません。
私たちの住んでいる志太地区は、大井川、瀬戸川が運んだ肥沃な土によって平野ができ、そこに住みつき米などの作物を育てて暮らしてきました。
 特に大井川は、南アルプスの間ノ岳を水源として駿河湾にそそぐ全長168kmの一級河川です。
 今、その大井川の源流付近にリニア中央新幹線のトンネル工事をする計画があります。
JR東海は、現在海岸沿いに走っている東海道新幹線とは別に、もう一本中央部を通る新しい新幹線ルートを作ることとしました。南海トラフの地震等が起きた際の重要なバイパス路線ではあり、品川駅から名古屋まで168kmを40分で結びます。2027年の開通を目指して、5兆5千億以上の建設費をかけ工事が始まっています。
 沿線となる神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知の四県は駅ができて東京や名古屋の都市圏が近くなるわけですから、各県を挙げて開通を推進しています。
 しかしながら静岡県は、県境の先端南アルプスの地下をトンネルで10.7km通るだけです。その南アルプスは大井川の源流部分でありトンネルを掘ることによって水脈が絶たれてしまう恐れがあるのです。
 大井川の水は上流では中部電力の発電に使われています。そして志太地区だけでなく榛原地区、袋井、掛川、菊川まで流域人口62万人の水道用水になっています。さらにそれらの地区の農業用水となって水田やお茶、野菜を育んでいます。右岸では、牧之原台地はお茶の開墾をしたものの水がないことが課題でした。小笠地区も大きな川がないので、これまでは、ため池に頼らざるを得ませんでした。大井川用水が完成し水不足に悩まされることがなくなりました。左岸は大井川土地改良区の用水が高草山の下まで行き渡っています。まさに「命の水」なのです。
 また、それだけでなく、地下水も大きな役割を果たしています。旧大井川町、吉田町はうなぎの養殖が盛んでした。これも大井川の伏流水を利用しています。下流域にある食品工場、化学工場など井戸を掘って地下水をくみ上げて使っています。水があるから営業できています。産業を支えるという意味でも「命の水」ですね。
 静岡県にとってリニア中央新幹線が通るということは、リスクはあれども何のメリットも無いこととなります。
 「富士山静岡空港の直下に新幹線の駅を作ればいい。」「のぞみを停まるようにしたりひかりを増やしたりすればいい。」という考えもあるかもしれませんが、それと水がなくなることとは全く別次元の問題です。
 流域の8市2町の首長さんや議員の皆さんも、「命の水を守る」という意見書や決議文を提出しています。
  

Posted by 佐野 愛子 at 15:52Comments(0)

2020年06月04日

心愛 オープンダイアローグ

オープンダイヤローグに期待する
                       佐野 愛子

病気を治すためには投薬治療が一般的です。がんの治療薬「オプチーボ」も保険適用となりその効果が期待されるところです。しかしながら、効用がはっきりしない薬もあるようで、認知症の進行を抑えるということでよく使われている「アリセプト」は画期的な治療薬だとされていますが、聞くところによるとフランスではその効果に疑問が生じ、最近保険適用から外されたということです。
また、発達障害や多動性がみられる子どもにも服薬をすることがあります。大人は「これで落ち着いた、普通になった。」と思いがちですが、本人は「ずっと頭に重い鉄の蓋をかぶっているみたい。」「自分が自分じゃないみたい。」という違和感を持っているということも聞きます。薬は副作用がつきものです。精神に病を持つ方々も服薬とその副作用とのバランスを見ながら処方を続けています。
そんな中、「オープンダイヤローグ」という、対話を重ねることで統合失調症などが回復するという画期的な治療法が注目されています。薬物中心の従来の常識を覆す手法です。
もともと、フィンランドの西ラップ地方で生まれた手法ですが、患者と家族、医師、看護師などの専門チームがミーティングを開き対話をするというごくシンプルなものです。
患者と治療者という上下関係はなく、みんなが対等に発言し、治療方針を決める時も患者のいるところで話し合いをします。
日本でも導入が始まり、研修会がもたれるようになってきました。しかし、まだまだ中央の一部の動きであって、静岡では治療ができるところまでは至っていません。医療現場に導入されるには課題が大きい現実です。
私はこの「オープンダイヤローグ」について、中央の研修会や書籍等で研究しなんとかして地元で実践できるように進めたいと考えています。関心がある方々と連携し進めて参りたいと思いますのでよろしければご一報ください。
  

Posted by 佐野 愛子 at 15:50Comments(0)

2020年06月04日

雑感 コロナ

9月入学に思う

3月からの唐突の休校が、結局5月下旬まで続くことになった。
どんな工夫や努力をしてもその授業時間数や教育課程で修めるべき内容を取り戻すことは困難である。
 4月当初、意気込んで始めるはずだった新学期がまた閉じられてしまった頃、藤枝市の学校を訪問し校長先生と話しながら、ふと
「9月入学にすればこの空白期も解決ますよね。」という話題になり、
「そうだ、この遅れを取り戻そうとやきもきするより9月から新学期になればいいんだ。」
と単純に「9月新学期論者」になった。そして知己の国会議員に、ぜひ国会での話題にしてと話した。
そうしているうち、国会で誰かが質問し論戦が始まった。与党ではPTも作られ国民的議論と発展していった。
はじめのうちは「いいぞ、いいぞ!」とその論戦を楽しんでいた。しかし、詳しい分析や状況を知れば知るほど簡単ではないことがわかってきた。まず、会計年度と合わないこと、入社の時期も合わないし。
そして、半年間を調整するためには1.5倍の児童生徒を受け入れる時期が必要となるために、膨大な教師増校舎増を図らなければならない、部活の大会の時期、同級生の枠が9月から8月になる等々、難題だらけであった。
今年の半年の遅れという問題以上に大きい難関であることが明らかになった。
そうか、今年一年夏休みや冬休みが少なくなったり、遠足がなくなったりすることを我慢すれば済むのならその方が無難でしたね。
でも、拙速な導入をすることなく、国を挙げて功罪を論じ合ったことで私としては満足している。

  

Posted by 佐野 愛子 at 15:45Comments(0)

2019年01月28日

関東地区母と女性教職員の会 あいさつ

関東地区  母と女性教職員の会  あいさつ

 皆様おはようございます。ようこそ静岡へお越しくださいました。私は静岡県議会議員の佐野愛子と申します。小学校の教員を、静岡で23年ほどやっておりました。そして今、県議会議員として4期、16年目を迎えています。実は私は、前々回の関ブロ母女が静岡に来たときに女性部長として担当させていただいたものです。今は退女教の仲間として活動をさせていただいています。
 さて、昨日の交流会。ケンミンショーばりの皆さんの県の自慢がたくさん出て楽しませていただきました(笑)。私も静岡の自慢を少しさせていただきますと、静岡は東西200㎞、東海道新幹線の駅が6つもあります。そして駿河湾、南アルプス、富士山と海の幸、山の幸に恵まれている所です。気候も勿論、温暖です。農水産物の食材がなんと439品目あるというのが川勝知事の自慢でもあります。昨日は静岡の食を堪能していただけましたか? ぜひとも今日、お土産をたくさん買って帰ってください。
 さて、広島と長崎の原爆記念日、この間に開催されるこの関ブロ母女は本当に意味がある会だと思います。私は昨日、自立と共生の分科会に参加させていただきました。やはり、学校現場こそ平等であるべき、そして、同一労働同一賃金の教職員こそ平等であるべきだと思います。ところがまだ混合名簿もこの関ブロの中では実行されていない県があるという事も、少し驚きでした。
 私はいま静岡県議会議員ですが、69人中、女性議員はたった4人です。増えて4人です。まだまだ男女平等には行きつかないという現実を目の当たりにしています。国の政策では、女性活躍、女性が仕事を続ける環境づくりを積極的に行ってはいます。しかし、女の先生方がまだ分掌でも管理職も少ないし、本当の平等はまだまだだと実感します。
 議場に赤ちゃんを連れて授乳をするというようなことが話題になりました。育児休業制度は、この静岡県藤枝市、私が住んでいる市の女性教員が56年前に、育児休暇があったら良いな、というのを地区の役員会で声をあげました。それが日教組の全国大会の議題となり、1975年に育児休業法案が国の法制度になったわけです。女の先生が働き続けるために、しっかりと私たちの先輩が努力を積み上げて勝ち取った育児休業なのです。このような歴史を踏まえて、世の中の女性の活躍のために、女の先生が――女の先生って言うと何か偏見的な言い方かもしれませんが――先陣を切って世の中の女性をリードしていく。そういう立場だと思います。皆様方が、権利を使って、自信を持って働き続けること、それが世の中の女性を引っ張っていくことになります。
ぜひとも、自信を持って声をあげていこうではありませんか。教師が輝くことが子どもたちの輝く未来につながります。子どもの未来のため、子どもの平和のためという理念があればどんな事を発言しても怖くはないと思います。平和に対する思い、そして、嘘は言わない。女性は誠実、正直に真っ当に前を向いて正しいことは正しいと皆で言い張ろうではありませんか。それがこの仲間の持つ強みだと思います。

この仲間と共にこの静岡で学んだ2日間をぜひとも広めていってください。そして、仲間がいることを強みにして頑張っていきましょう。本日はおめでとうございます。ありがとうございました。
  

2019年01月28日

藤枝文学舎 寄稿記事より

「はじめに言葉ありき」
~小川国夫さんの遺したもの~
                           佐野 愛子

「はじめに言葉ありき」
私の耳にどこからか鳴り響いてくるなじみの言葉。
「そうだよね、やっぱり言葉だよね。」と妙に納得したり、「いや、言葉より先に大切な行動があってこそ真実だよ。」と疑ってみたり。
私の60数年の人生、絶えずそんな俗なことの繰り返しだったような気がする・・・。

今から40年も前、静大生だった私は大した目的を持つこともできず悶々と学生生活を送っていた。卒業論文を書かなければならなくなった時、親しみのある地元の作家、小川国夫さんを何となく選んだということからご縁が始まった。
滝ノ谷不動峡では、多くの中央の芸術家さんたちとの出会いがあった。彫刻家、画家、作家、批評家、デザイナー、工芸家、詩人、映画監督、ミュージシャン、演劇人、などなど、一人ひとりの顔が浮かんでくる。
小川さんには「焼津平安閣」で挙げた私の結婚式に来ていただき、来賓としてご挨拶までお願いした。画家の司修さんには「祝婚歌」という詩集を頂いた。
ちょっと、甘酸っぱい青春の思い出である。

「言葉」の話に戻そう。小川さんがこだわった「文体」。
「文体とはなにか。」それも私の人生のテーマであった。というか、「言葉」を乗り越え「文体」となると、自分の思考そのもの、生き方そのものになってしまうではないか。小川さん独特の、イメージを抽象化してそのまま文章にした飾り気のない文体。決してなめらかとはいえない、すべてを削ぎ落したボツボツとした文体。それに比べて私は、美辞麗句、受けねらいの人生を送ってしまったのではないか。若かりし頃の小川さんに傾倒した感性はどこへ行ってしまったのか、と若干、自虐的にもなる。

いや、そんなことはない。私の生き方はやはり「はじめに言葉ありき」。「言葉」がすべてだったではないか。信じられるのは「言葉」だけで「絵画」も「映像」も「アニメ」も私の眼には映ってこない。「文字」や「活字」で表される「言葉」だけが真実。そして、自信をもって主張できる「言葉は光」だと。

そういえば、あまりにお粗末な私の卒業論文は、小川さんに読んでいただくという約束を果たすことなく封印されたままどこかへいってしまった。

もうじき冬になって晴れた風の強い日があったら、大井川の河口に行ってみようと思う。駿河湾の陽の光を受けて、「はじめに言葉ありき」「言葉は光」を改めて確認してこようと思う。




  

Posted by 佐野 愛子 at 18:39Comments(0)観たり聴いたり読んだり

2019年01月28日

オープンダイアローグに期待する

    オープンダイヤローグに期待する
                                           佐野 愛子

病気を治すためには投薬治療が一般的です。がんの治療薬「オプチーボ」も保険適用となりその効果が期待されるところです。しかしながら、効用がはっきりしない薬もあるようで、認知症の進行を抑えるということでよく使われている「アリセプト」は画期的な治療薬だとされていますが、聞くところによるとフランスではその効果に疑問が生じ、最近保険適用から外されたということです。
また、発達障害や多動性がみられる子どもにも服薬をすることがあります。大人は「これで落ち着いた、普通になった。」と思いがちですが、本人は「ずっと頭に重い鉄の蓋をかぶっているみたい。」「自分が自分じゃないみたい。」という違和感を持っているということも聞きます。薬は副作用がつきものです。精神に病を持つ方々も服薬とその副作用とのバランスを見ながら処方を続けています。
そんな中、「オープンダイヤローグ」という、対話を重ねることで統合失調症などが回復するという画期的な治療法が注目されています。薬物中心の従来の常識を覆す手法です。
もともと、フィンランドの西ラップ地方で生まれた手法ですが、患者と家族、医師、看護師などの専門チームがミーティングを開き対話をするというごくシンプルなものです。
患者と治療者という上下関係はなく、みんなが対等に発言し、治療方針を決める時も患者のいるところで話し合いをします。
日本でも導入が始まり、研修会がもたれるようになってきました。しかし、まだまだ中央の一部の動きであって、静岡では治療ができるところまでは至っていません。医療現場に導入されるには課題が大きい現実です。
私はこの「オープンダイヤローグ」について、中央の研修会や書籍等で研究しなんとかして地元で実践できるように進めたいと考えています。関心がある方々と連携し進めて参りたいと思いますのでよろしければご一報ください。
  

2019年01月24日

静岡県議会定例会一般質問

平成30年 静岡県議会定例会 一般質問(12月12日)

今年は「教育」を中心に子どもや学校現場、女性、障がい者が抱えている問題解決に向けての質問を行いました。 
定例議会一般質問
                
1 子どもたちを豊かに育むための環境づくりについて
(1)総合教育会議の今後の方向性について
質問内容
総合教育会議では、教育の現場で必要とされている施策の提言や、持続可能な未来のために教育で伝えなければならないことの示唆が期待されているが、総合教育会議の今後の方向性について知事の所見を伺う。
答弁内容(知事)
 教育現場の状況を十分に考慮し、県教育委員会と意思疎通を図りながら、様々な課題の解決に向けた施策を具体的に実施することにより、地域ぐるみ・社会総がかりで、「ふじのくに」の未来を担う「有徳の人」づくりに取り組んでいく。
(2)教職員の多忙解消に向けて
質問内容
県が3年間かけて、教職員の長時間労働等の勤務環境改善に向けて取り組んできた「未来の学校『夢』プロジェクト」の成果と働き方改革を全県に普及するための方策について質問するとともに、スクール・サポート・スタッフ事業の拡充を要望する。
答弁内容(教育長)
市町と連携し、多忙化の解消に向け優れた事例の共有化を図り、公務の整理や外部人材の活用などを進める。スクール・サポート・スタッフについては国の事業を積極的に活用し、現場の要望に応じた配置に努める。
(3)外国籍児童生徒への教育充実について
質問内容
 県内には多くの日本語指導が必要とされる外国人の子どもがいて、今後さらに増えることが予想される。学校では、言葉の壁だけでなく生活習慣や価値観の違いも超えて共に生活をしなければならない。一方で、外国人児童と学ぶことは、日本人の子どもにとっても多文化共生意識を育む有益なことである。外国人児童への教育をどのように推進していくのか伺う。
答弁内容(県教育長)
外国人の児童生徒の状況に応じた教育が十分に提供できるよう、市町と連携し保護者の勤務先企業の協力を得ながら、学校における更なる体制づくりを進める。
2 主要農作物種子法廃止への対応について
質問内容
稲、麦、大豆の種子安定提供を義務付けた種子法が廃止され、生産者・消費者からは不安の声が上がっている。県の農業を守り、主食の安心安全のためにどのような対応をしていくのか質問する。また、条約制定の必要性についても県の見解を伺う。
答弁内容(農林水産戦略監)
県は引き続き、種子生産として原種及び原原種の生産に取り組むこととし、関係市町や団体に対し採取事業を継続して実施する意思を通知したところである。条例の制定については、現状において万全を期しているものと考えているが、生産者や関係者に不安の声があるとすれば、条例制定の必要性の有無を検討する。
3 障がい者継続支援事業への支援について
質問内容
 4月に障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの報酬改定が行われたが、事業所の実態から離れたものとなっており、運営が困難になり閉鎖しなければならない事業所も出てきかねない。県は実態をどのように調査・把握し、課題に対する支援をしていくのか伺う。
答弁内容(副知事)
実態に即した運用を国へ要望することや事業所の自主製品の付加価値を高めるための支援を実施している。また、企業による発注拡大を強力に進める。障がいのある方が働き続け、経済的な安定はもとより、社会の一員として、生き生きとした生活が送れるように、共生社会の実現に努める。
4 性暴力被害者支援センターSОRAの機能充実について
質問内容
SORAの設立以来、想定を上回る相談が寄せられてきています。(4カ月で183件)今後、被害者の身体的ケアのためには病院との連携が必要だが、更なる拡充について県の考えを伺う。
答弁内容(くらし・環境部長)
ホームページに掲載するほか、全県高校、大学等の女子学生に案内カードを配布するなど周知に努めている。病院との連携について、心身への負担軽減のため、個別の待合スペースの確保などプライバシーへの配慮や相談員の同席による診察、緊急時における優先的な診療などの協力体制を構築している。
  

Posted by 佐野 愛子 at 10:27Comments(0)議会活動

2019年01月24日

1月24日の記事


ラグビーワールドカップ2019モニュメント
ラグビーワールドカップ2019静岡で開催
<エコパスタジアム試合日程>
9/28日本VSアイルランド
10/4南アフリカVSイタリア
10/9ロシアVSスコットランド
10/11オーストラリアVSジョージア

観戦する皆さんの気持ちが一つに
なり、スポーツを通して世界の人々がつながることを願っています

 

 静岡県教職員組合と連合静岡は、本年度も署名活動を行い、「245,759筆」もの署名をいただきました。署名をしてくださった皆様から、「子どもたちがよりよい環境で学べるように頑張って。」というお声をいただきました。集まった署名は12月13日に知事・教育長に提出してまいりました。よりよい教育環境の実現を願う多くの皆様の声を力に、尽力してまいります。今後とも引き続きご協力をお願いいたします。

  

Posted by 佐野 愛子 at 10:19Comments(0)愛の風

2017年04月27日

新茶の季節ですね!

献上茶謹呈式典   あいさつ要旨


皆様、おはようございます。副知事をはじめ県内の茶業関係者が一堂に会しての献上茶謹呈式の盛大な開催おめでとうございます。
私は今朝7時、献上指定茶園の住田さんの茶畑へ献上茶を摘み取るお手伝いに行きました。中里の山の尾根にある茶園ですがすがしい茶摘みの神事を行いました。
 今年は桜も藤の花も遅く気候が不順で、園主に指定された住田様、遠藤様におかれましては本日の式に間に合わせて茶芽を育てるのにさぞかしご苦労があったことと思います。心よりお礼申し上げます。
 この藤枝で茶の献上を行うのは平成12年以来17年ぶりでああります。前回とはお茶の情勢も大きく変わっているというものの、大変光栄なことであります。
 皇室への茶の献上は、大正14年、当時の伊藤喜八郎静岡県知事が沼津御用邸に滞在中の天皇陛下に献上したのが始まりで、戦中一時中断したものの復活して今年59回目を迎えているということです。また、手揉み茶の献上をおこなっているのは全国の中でも本県だけということです。ますます名誉なことですよね。
 お米は新嘗祭やお田植式など神聖なものとして皇室も取り扱っています。なんといっても我が国の主食でありお神酒にもなる産物です。しかし私は、お茶もそれ以上の神聖で高貴なものではないかと思うのです。仏さまには毎日お茶を上げますし、世界無形遺産にも登録されようとしている職人たちの手揉みによって芸術品のように仕上げられたお茶、煎茶道、抹茶道など日本文化と芸術の根源です。
もともとは栄西禅師が薬草として持ち帰ったように様々な健康に良い効能があることはますます知られてきています。
藤枝市はこのような素晴らしい産物であるお茶の生産地であることに誇りをもって今後も取り組んでいきましょう。
 新芽が出そろった茶ばらは本当に美しいものですね。静岡県民には当たり前の茶園の景色ですが他から訪れた方たちには何より素晴らしい景色に映るそうです。立派な観光資源です。県でも「美しい茶園につながるプロジェクト」として人を呼び込む企画をしています。
しかしながら、人が入って手入れをしない茶園はすぐに荒れ果ててしまします。茶業が産業としてしっかり成り立ち収益を得ないことには茶バラの維持管理もできません。
厳しい情勢ではありますが、人々を健康にして豊かにする素晴らしい産物であるお茶を世界中に広げるよう県も施策を進めているところです。
また、ステージには芸術的な陶芸作品が並べられていますがこれは、中里の住田さんの茶園の登り口にある陶芸センター所長の前田直樹さんの作品です。地元の特産をつなげて発信する取り組みも行っています。
さあ、これから手揉みの名手たちによって茶葉が「お茶」という農芸品に変身し皇室に参ります。この勢いで藤枝茶産地頑張りましょう。


  

Posted by 佐野 愛子 at 18:32Comments(0)

2017年04月09日

12月議会一般質問

~ 平成28年12月静岡県議会定例会 ~

質問者: 佐野 愛子 議員
質問日:2016/12/9 2番目
会派名:ふじのくに県民クラブ

1 多様性のある県土ダイバーシティーふじのくにの構築について
(1)障害者差別のないふじのくにづくり
答弁者 : 吉林副知事
質問要旨: 本年4月に障害者差別解消法が施行された。 県条例の制定の進捗状況と、障害のある方に対する差別の解消を推進し、誰にも優しいふじのくにの実現のために、どのような施策を展開していくのか伺う。
答弁内容:差別の解消を推進するための条例を制定し、全ての県民が一体となって障害に対する誤解や偏見を払拭し、障害を理由とする差別のない県民意識を醸成していく。公共交通機関など生活の場のバリアフリー化や、障害のある方に寄り添った配慮など、障害のある方々の視線を大切にした様々な備えをしっかり行い、全ての方々にとって優しく暮らしやすい“ふじのくに”となるよう取り組んでいく。

1 多様性のある県土ダイバーシティーふじのくにの構築について
(2)LGBTへの理解促進
答弁者 : 健康福祉部長
質問要旨: 性的マイノリティーの方々が、学校でも、職場でも、地域でも自分らしく生きていくことができるよう、まず県民の理解を深めることが必要と考える。今後どんな取組をしていくか伺う。
答弁内容: LGBTに関しての正しい説明や国の取組を、県人権啓発センターの機関紙に掲載するなど、広く県民に対して、理解を深め、偏見や差別が生じないように取り組んでいる。、教育現場や公務部署での一層の理解促進を図り、LGBTを含めた人権啓発活動に積極的に取り組み、全ての人の人権が尊重され、多様性を認め合うことができる社会を目指していく。

1 多様性のある県土 ダイバーシティーふじのくにの構築について 
(3)企業のダイバーシティー経営の促進
答弁者 : 経済産業部長
質問要旨 性別、年齢、国籍、障害の有無、キャリア、ライフスタイルなどが異なる、多様な価値観を持った幅広い人材が多様化する顧客ニーズを的確にとらえ、新たな収益機会を取り込むための企画も生まれてくる。県が進めてきた、個々の雇用施策に加え、ダイバーシティー経営を県内企業で推進するべきと考える。県の所見を伺う。
答弁内容:  来年8月に策定する産業人材確保・育成プランでは、長時間労働の改善や、有給休暇の取得促進などの働き方改革を支援する施策を検討するとともに、ダイバーシティー経営の考え方も取り込み、女性や外国人、障害のある方などが自身の持つ能力を最大限に発揮し、誰もがいきいきと働くことができる社会の構築を目指していく。

1 多様性のある県土ダイバーシティーふじのくにの構築について
 (4)若い女性に魅力ある県土づくり
答弁者 : くらし・環境部長
質問要旨: 県では「転出超過」が続いているが、将来子どもを産み育てる若い女性の確保が、人口増加の大きなポイントになっている。
 経済や社会の活性化のため、今こそ、女性の視点や発想を取り入れるなど、女性の力が必要な時期に来ていると考える。
 若い女性を静岡県に惹き付け、女性が輝く魅力ある県づくりについて、所見を伺う。
答弁内容: 「ふじのくに女性活躍応援会議」が中心となり県内で働く女性のネットワーク構築やロールモデルを増やし、多様な働き方を紹介し、女性自身の意識を高め、本県のイメージアップを図っていく。首都圏にはない静岡らしいライフスタイルの提案や、子育て環境の充実、まちの活気やにぎわいを創出することなどにより、本県の魅力の最大化を図り、静岡県で暮らしたいと多くの若い女性が望むように努める。

2 子供たちを豊かに育むための環境づくりについて 
(1)静岡式35人学級の充実
答弁者 : 教育長
質問要旨: 来年4月からは、政令市へ定数給与に係る事務が移管され、定数決定権と税源もあわせて移譲されるが、行政的には分離しても、同じ静岡県としての目標は共有していくべきではないか。
 移譲後の政令市は、これまで通り、少人数教育を推進していくのか。そして、県は移譲後の政令市とどのような連携体制を構築していくのか伺う。
答弁内容:静岡式35人学級編制を充実するために、25人の下限を撤廃し、36人以上学級の解消を検討している。静岡市、浜松市においても、少人数教育を充実するために、それぞれ必要な教員を配置する方向である。更に連携を強化し共通理解を図るとともに、静岡県の子供たちにとって、有益な教育環境の整備に努めていく。

2 子供たちを豊かに育むための環境づくりについて 
(2)未来の学校「夢」プロジェクトの具現化促進
答弁者 : 教育長
質問要旨: 学校現場の多忙化解消には、教職員の意識改革など学校内の改善だけでは進まない。保護者や地域の方々に対して、本事業の理解・協力を得るためにどのような取組をしてくのか、また、人材をどのように活用して困窮を極める学校現場に対応していくのか、教育長に伺う。
答弁内容: 地域や保護者の方々はもちろんのこと、広く県民からも学校現場の多忙な実情と、この取組が教育活動の充実につながることを御理解いただけるよう、プロジェクトの成果を積極的に情報発信していく。スクールカウンセラーや学校支援サポーターなどの外部の専門スタッフの活用状況の分析を行い、教職員に加え地域人材も含めた「チーム学校」による指導体制を強化する。

2 子供たちを豊かに育むための環境づくりについて
(3)教員の資質向上のための新たな制度
答弁者 : 教育長
質問要旨:  教員育成協議会において現場の教職員の意向をしっかりと吸い上げる必要があると考える。
 免許状更新講習の科目と中堅教諭等資質向上研修の科目の整理・合理化が必要と考えるが、見通しをお聞かせいただきたい。
答弁内容: 教員育成協議会には、学校現場の課題や状況を教員育成指標に反映させるため、教育委員会や大学関係者や多様な教育関係者の参画についても検討していく。
 中堅教諭等資質向上研修と免許状更新講習との整理・合理化については、10年経験者研修と免許状更新講習との重複感、あるいは負担感の解消のため、研修実施時期の弾力化等を今後も進めていく。



2 子供たちを豊かに育むための環境づくりについて
(4)「小中学校の児童生徒の静岡茶の愛飲の促進に関する条例」の実効ある取り組    
    み
答弁者 : 知事
質問要旨: この条例は、低迷する静岡茶の将来に明るい光をさしかけるものであると、県内の茶産業関係者が待ち望んでおり大きな期待をもっている。
 小中学生がお茶を愛飲することによって、豊かな感性を育み生涯にわたってお茶を愛することを期待している。学校現場に負担なく、この条例が実効性をもち、県民全体の幸せにつながるための意気込みを伺う。
答弁内容: お茶の効能については、科学的・疫学的に健康効果が解明されている。この条例の制定によりお茶を飲む習慣がつくことで、子供たちが学校生活においてお茶を楽しみ、また、卒業してからも、後は成長してからも、長年にわたって健康維持・増進の効果を期待したいとしている。学校現場、市町及び茶業などの関係者、静岡茶の歴史・文化及び食育に関する有識者等からなる県民会議を設置する。学校現場に負担がないような提供を考慮する。
  

  

Posted by 佐野 愛子 at 15:33Comments(0)議会活動

2017年04月09日

愛の風


「小中学校の児童生徒の静岡茶の愛飲促進に関する条例」制定
学校給食でお茶を提供したり、学校に日本茶インストラクターを招いてお茶の入れ方を学んだりするために、H29年度7000万円の予算が計上されました。
お茶のカテキンなどのすばらしい効能は、インフルエンザや虫歯予防など子どもたちの健康の健康維持に役立つものであり、日本茶を飲む習慣をつけることは生涯にわたって健康長寿につながるものであります。
 さらに、リーフで飲むおいしい日本茶を味わうことは、今後の静岡茶の消費拡大につながるものとして期待がもてます。
 多忙を極める学校現場に負担を課す事業にならないような導入を要望していきます。



  

Posted by 佐野 愛子 at 15:19Comments(0)

2017年04月09日

愛の風


すべての子どもを大切にする社会づくり

静岡県議会2月定例会において、平成29年度一般会計予算1兆2,058億円を承認しました。『ジャパニーズ・ドリーム』を展開し発信する“ふじのくにづくり”の総仕上げとする予算であります。
今予算では、私たちが切望していたすべての子どもたちに目が行き届くための「静岡式35人学級の下限撤廃」ための教員定数が配置されることになりました。今後3年間計画で県内小中学校の36人以上のクラスをなくしていきます。
静岡県教職員組合と連合静岡は、「豊かな教育環境の実現を求める署名」を2002年から実施し、2016年までの累計集約数は363万筆を超えました。これは静岡県民の全人口に迫る数であり大きな力となりました。働く仲間や保護者の多くの声が「チャイルドファースト」の施策を生み出したと言えます。
少子化や人口流出、経済の低迷など課題が多い現在社会ですが、それらに立ち向かい解決していくのは「人の力」です。社会全体で子どもを育み、大人になっても常に学ぶ姿勢を持ち続けて社会のために活躍する、そんな県民であふれた“ふじのくに”にしていきます。
今後とも引き続きよろしく願いいたします。


  

Posted by 佐野 愛子 at 15:15Comments(0)愛の風

2016年12月27日

県政連記事


昨年行われた参議院選挙では、18才以上の若者が初めて投票権をもちました。投票率を調査したところ、県立高生はなんと81.3%が投票に行きました。それに比べ既に高校を卒業している19歳の投票率は37.1%と格段に落ち込んでいました。主権者教育の大切さ、そして学校教育の成果を物語っていると思います。
若者がしっかり投票に行って、若者の声を政策に生かす取り組みをしていかないことには若者が暮らしやすい社会は実現しません。
今年はミニ地方統一選があり各地で各級の選挙が実施されます。子どもたちの未来のため、日々の暮らしのためにも投票に行きましょう

  

2016年12月22日

心愛へ  トランプショック

トランプ・ショック

アメリカ大統領選の信じられない結果が出ました。選挙戦中の過激な発言はとても大国の大統領にはふさわしくない人物であり、アメリカの国民が彼を選ぶとは想像もつきませんでした。「これは悪い夢を見ているのではないか。」と頬をつねってみたくなります。
 これから世界はどうなってしまうのか、恐怖に近いものを感じるのは私だけでしょうか。
アメリカは格差がたいへん大きい国です。「国民の上位1%が持つ資産は、下位90%が持つ資産の総量より多い」と例えられるように、貧困にあえいでいる子どもや老人にあふれています。
 日本は、国民皆保険制度が整っており、病気になって医者にかかっても治療費は健康保険があるため少ない負担で済みます。 しかしながら、アメリカには国民健康保険制度はありません。民間保険会社の医療保険に任意加入するしかないのです。急病になって救急車で病院に運ばれると、受け入れた医者は患者にまず、「健康保険に入っていますか?これから治療をするには00ドル必要ですがあなたには支払うことができますか?」と尋ねるそうです。そして「そんな高額なお金は払えません。」と答えると支払い可能な分の治療だけを施し、あとは家へ帰されるだけなのです。
オバマ大統領はアメリカにおける皆保険制度の必要性を訴え「オバマプラン」を提案し、制度の実行に向けて進みつつありました。しかし、トランプ大統領は閣僚人事に「オバマプラン」反対派の人物を登用しようとしています。アメリカにおける医療保障は、また暗澹としたものになっていきそうです。
我が国においては、子ども医療費無償化も進んできました。加えて高額医療制度や後期高齢者医療制度など少しずつではありますが負担軽減に向けての制度が充実してきました。しかし、今国会では年金法案の見直しが可決するなど社会保障をめぐる動向には予断が許せません。精神障害者の医療費負担軽減やJR運賃の無料化など、この会が継続していく課題はいろいろあります。
会員の皆様とともに更なる充実を求めていきましょう。
  

2016年12月19日

重症心身障害児者守る会50周年

守る会の三原則によせて 
                        静岡県議会議員  佐野愛子 

守る会藤枝分会の創立50周年おめでとうございます。会員の皆様のたゆまぬ努力の継続に、心より敬意を表します。
私がこの会とのつながりは今から14年ほど前になります。松岡紋子先生の後を受けて県議会議員としての活動を始めようとしている時、最初に出会ったのが守る会の皆さまでした。「やけに元気なお母さんたちだな。」というのが第一印象でした。今思えば、藤枝発で「つばさ」を設立する運動の真っ最中、エネルギーと団結力が充実している時だったのでしょう。松岡先生と一緒に集会に参加したり要請に出たりしたことが私の議員活動の原点となりました。
そして、この会の「三原則と親の憲章」は社会に生きていく人間としての心得として最高の文章だと思います。何度読み返してもひとこと一言が重く深い意味があり、読み返すたびに私も原点に立ち返ることができます。三原則に寄せる思いをあげさせていただきます。
三原則の一番目「決して争ってはならない」
国では安全保障関係の法案が成立しました。平和な社会は障害者にとって最低限の条件です。地震津波などの自然災害は人の力で防ぐことは難しいので防災対策を進めることが大切ですが、戦争や紛争は人間が起こすものです。命の大切さを誰よりもわかっている守る会の皆さま、平和の大切さ訴えていきましょう。もちろん身近な人たちと争っている場合ではありません。会員同士も会員でない人も。そして一番身近な家族とも仲良く力を合わせていきましょう。
二番目「親個人のいかなる主義主張も党派を超えること」
目的達成のためには政治的な力が必要です。政策により権利や安心が決定されます。政党云々というのではなく、すべての合意を得て必要な施策を進めることが先決です。私も政治家としてしっかり心得ておきます。
三番目「もっとも弱いものをひとりももれなく守る」
これこそ守る会の基本となる理念ですね。社会的に最も弱い立場である重症心身障害者。この方たちの人権と命を守ることが社会の原点です。社会の成熟度が試されます。この理念について私が学ばせていただいた方々をあげると、「びわこ学園」を創立した糸賀一雄さん。「この子らを世の光に」の言葉に、福祉に携わる視線を学ばせていただきました。また身近では「つばさ」の山倉先生を中心とするスタッフのみなさん。重症心身障害者の方々への具体的なかかわり方や理論の基礎がたいへん勉強になります。
そして、やっぱり一番理念を実践しているのは、会員のみなさんです。一人で悩んでいても変わらない社会を多くの人々と力を合わせることで、少しづつ少しづつ変えてきました。励まし合ってきました。これからもより一層会員の皆様が元気に力を合わせて、次の50年に向けて新しいスタートをきりましょう。



  

2016年12月19日

心愛会50周年によせて

       「トリエステ」のように
                  佐野 愛子

焼津・藤枝二市心愛会創立50周年おめでとうございます。
ひとくちに50年といっても半世紀です。21世紀の現在とは社会環境も医療の環境も全く異なっていた時代に、静岡県初の家族会を立ち上げたということはなんという行動力でしょう。精神の障害には家族同士のつながりが大切であること、精神障害に対する正しい知識や理解が必要なことを会員とともに訴え続けてきました。また、当事者の社会参加のための作業所の設立、医療費や各種保障制度の獲得も家族会という組織で声をあげてきた成果であります。歴代の会長様始め役員や関わってくださった方々の献身的なご尽力に心より敬意を表します。
 
さて、「イタリアには精神病院がない」ってご存知ですか?
イタリアの精神保健医療改革について、昨年静岡県議会の海外調査団が有名なトリエステを視察してきました。人口23万6000人の街トリエステでは、当時入院患者が1200人いましたが段階的にベットを減らしていき、それに替わる地域サービス網を作っていったのです。4か所ある地域精神保健センターは24時間オープン、夜間救急時のベットは総合病院に用意されています。24時間ケア付きの住居やデイケアセンターなどに加え、医師、看護師を始めとする専門職や多くの職員も導入しました。トリエステでの成功例を基に、1999年にイタリア全土の精神科病院の完全撤廃が宣言されたのです。
 日本でも法制度が変わり、精神障害者の地域生活への移行を促進する方向性が示されています。地域で生活するにはトリエステのように理想的な支援の整備体制を整えることはもちろんですが、周囲の意識改革がポイントとなります。精神障害者に対する差別、偏見を少しずつでも減らして、みんなで見守るという社会を作っていかなければなりません。
今年春からは「障害者差別解消法」が施行され、県でも障害者の差別をなくす条例が成立します。みんなの人権が尊重されて命が大切に守られるために心愛会のみんなも自信をもって様々な声をあげていきましょう。医療費の無料化やJR賃金の無料化などの今後の課題に向けても活動を続けていきましょう。

あと50年後の100周年には、藤枝、焼津、島田がトリエステの街のようになっているでしょうか。